書籍出版のお知らせ 2018年2月1日

弊社スタッフが執筆に参加した「自動車用制振・遮音・吸音材料の最新動向」(シーエムシー出版)が出版されました。静粛性の確保に不可欠な制振材、遮音材、吸音材に関する最新動向をご紹介しています。

2018年4月04日 |

 

★高まる自動車の静粛性ニーズに伴い、注目を集める車内騒音対策!
★国連四輪車走行騒音規制により活発化している、制振・遮音・吸音材料の最新開発動向を一挙紹介!
★騒音発生メカニズムから材料開発、材料の最適配置、性能評価・シミュレーションまで、自動車騒音対策の全てが分かる一冊!

 

技術的に成熟したと言われていた自動車業界において、ハイブリッド車や電気自動車など動力源の電動化という自動車の根幹を変えるような事態が近年、世界的に進行している。また、消費者の求める品質のレベルが年々上がっており、自動車においても安全性、耐久性、静粛性などの品質を常に改善していく必要がある。本書籍では、こうした自動車を取り巻く環境が著しく変動している近年において、静粛性の確保に不可欠な制振材、遮音材、吸音材に関する最新の動向をまとめる。
ハイブリッド車や電気自動車においては、従来の内燃機関の寄与は小さく、もしくはゼロになり、自動車の振動騒音レベルは全体的に小さくなると期待される。しかし、内燃機関に起因する騒音によるマスキングがなくなったことで、ロードノイズや風切り音など他の騒音が目立つようになっている。それらをこれまで以上に低減したりコントロールしたりする必要が生じ、より高度な振動騒音低減技術が要求されるようになっている。
また、ITに関連する電子機器やハーネスなどの重量は年々増加しており、それを補償するため、車体構造や防音材については一層の軽量化が求められている。同時に性能面でもより高いものが求められている。自動車全体に対する質量比率は大きくない吸遮音材においても、軽量かつ高性能な製品を設計できる技術、すなわちトレードオフの問題に対して適切な解を求める技術が求められている。
さらに、車外騒音の規制値が今後、段階的に引き上げられることがすでに決定されている。エンジンやタイヤから発せられる放射音の抑制や、エンジンルーム内の吸音・遮音性能の向上をこれまで以上に検討しなければならなくなっている。すでに一部の自動車では、エンジンを防音材によりカプセル化し、エンジン放射音を低減するとともに、断熱性を向上させて夜間のエンジンオイル温度低下を抑制し、始動直後の燃費向上もあわせて実現している。また、エンジンルームやフロアパネルの下部にアンダーカバーを設置し、さらにそれらに吸音性能や遮音性能を付加し、車外騒音を低減しようとしている。このようにこれまで設置していなかった箇所に対して、新たに遮音材や吸音材を設置することが検討されている。従来の設計概念にとらわれないアプローチもあわせて求められている。
上述した様々な自動車の振動・騒音を低減する代表的な手法として、振動遮断、動吸振器やレゾネータ、制振、遮音や吸音、消音などが挙げられる。それぞれの手法において技術的な進展が見られるが、近年、発展の最も顕著なものが吸音材に関する技術であると思われる。多孔質吸音材の動的モデルとしてBiot モデルが対応するソフトウエアの広がりとともに多用されるようになっていることがその一つと考えられる。車体構造の加速度や音場の音圧応答などを計算する場合と比して、数倍の計算時間と計算資源が必要になるが、ハードウエアの高性能化あるいは低コスト化とも相まって現実的なモデル規模および計算時間で解析できるようになりつつある。また、Biot モデルを用いて計算するときに必要となる物性値(Biot パラメータと呼ばれる)を同定する装置一式をいくつかのエンジニアリング企業が提供できるようになっていることも要因の一つであると思われる。
本書籍は以下のように構成されている。第1章ではロードノイズや風切り音など自動車室内における騒音現象とその主な対策方法について概説いただいている。第2章では自動車室内の騒音抑制・静粛性の確保のために用いられている制振・遮音・吸音材料について、最新動向や開発動向、またCAEによる予測手法を取り扱っている。また、第3章では、自動車室内の騒音の音質を評価する手法や、防音材の適正化により制御する方法についてまとめている。最後に第4章では、遮音・吸音材料の実験的あるいは解析的な評価手法と自動車への応用事例について述べている。

工学院大学 工学部
山本崇史